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澤村 徹

2019年8月1日

Micro NIKKOR.C 5cm F3.5 | 業務用マイクロニッコールで写真を撮る【オールドレンズProfiling 第5回】

Micro NIKKOR.C 5cm F3.5Nikon Z 6 + Micro-Nikkor・C 5cmF3.5

マクロニッコールではなく、なぜマイクロニッコールなのだろう。ニコン派にはおなじみの逸話だが、他メーカーのユーザーにはどうにも不思議に思えるはずだ。

ニコンはなぜマクロレンズをマイクロニッコールと呼ぶのか。そのきっかけとなったのがこのマイクロニッコール・C 5センチF3.5である。

Micro NIKKOR.C 5cm F3.5本レンズは沈胴式を採用している。ミラーレス機だと内部干渉のリスクがあるので、沈胴しないようにしよう。

本レンズは35ミリマイクロフィルムシステム用に開発された。このレンズが登場した1956年当時、歴史的文書や貴重な書物はマイクロフィルムに記録して長期保存していた。日本語は漢字があるため、英文文書より高解像度なレンズが求められる。

そのニーズに応えたのが本レンズだ。

マイクロフィルムにより多くの情報量を記録するという用途からすると、近接撮影用レンズというよりも超高解像度レンズという意味合いが強いように思える。ではそのマイクロが、なぜマクロに転じていくのか

Micro NIKKOR.C 5cm F3.5ピントリングの3フィート付近でクリック感があり、そこからさらに近接側に回すことができる。最短撮影距離は1.5フィートだ。

マイクロニッコール・C 5センチF3.5はニコンSマウントとL39(ライカL)マウントで提供されたが、その後ニコンFが台頭し、一眼レフ向けに改良される。

等倍マクロのマイクロニッコール55ミリF3.5、自動絞りに対応したハーフサイズマクロのマイクロニッコールオート55ミリF3.5へと進化していった。こうした時代の変化の中、マイクロニッコールがニコンのマクロレンズという位置付けに収まっていったのだ。

元々はマイクロフィルムシステムという業務用途向けのレンズだが、マウントアダプター経由で無限遠から近接まで問題なく撮影できる。最短撮影距離は1.5フィート(約45センチ)で、L39ならびにニコンSマウントのレンズとしてはずいぶんと寄れる設計だ。

ただし、マクロ仕様の50ミリレンズとして捉えると、もう少し寄りたい気持ちにもなるだろう。

Micro NIKKOR.C 5cm F3.5この個体はL39マウントなので、LMリング経由でライカMマウントアダプターに装着した。この組み合わせで無限遠撮影が可能だ。

描写については、デジタル専用レンズのような解像力をイメージするとちょっと肩透かしを食らう。

輪郭がシャープになるというよりは、絞るほどに被写体のテクチャーが緻密になっていく。また、画面上のどの位置でもしっかりとピントが合い、オールドレンズとは思えない構図の自由度がある。

ニコン製マクロレンズの祖という歴史ロマン、業務用レンズを写真に転用するマニアックさ。マイクロニッコール・C 5センチF3.5はオールドレンズファンが熱くなれるポイントに満ちている。

作例

Micro NIKKOR.C 5cm F3.5 作例

Nikon Z 6 + Micro-Nikkor・C 5cmF3.5

絞り優先AE F3.5 1/80秒 +1.33EV ISO100 AWB RAW

黄色い花の先端にピントを合わせる。開放から滲みなく先鋭な描き方だ。

Micro NIKKOR.C 5cm F3.5 作例

Nikon Z 6 + Micro-Nikkor・C 5cmF3.5

絞り優先AE F8 1/50秒 ISO100 AWB RAW

F8まで絞ってみた。線が太くなることなく、ディテールを緻密に描く。周辺部でも実に精細だ。

Micro NIKKOR.C 5cm F3.5 作例

Nikon Z 6 + Micro-Nikkor・C 5cmF3.5

絞り優先AE F5.6 1/200秒 ISO100 AWB RAW

シャドウの締まりが良く、逆光耐性にもすぐれる。写真用レンズとしても申し分ない描写力だ。

Micro NIKKOR.C 5cm F3.5 作例

Nikon Z 6 + Micro-Nikkor・C 5cmF3.5

絞り優先AE F3.5 1/100秒 ISO100 AWB RAW

開放で背景を大きくボカしてみた。ボケ味は硬めで、背景の様子がそれなりに伝わってくる。

Micro NIKKOR.C 5cm F3.5 作例

Nikon Z 6 + Micro-Nikkor・C 5cmF3.5

絞り優先AE F3.5 1/3200秒 +0.67EV ISO100 AWB RAW

鏡面のオブジェを開放で撮影した。後ボケと化した雲がていねいな陰影をともなっている。

製品リスト

L-Mリング 半欠きタイプ(ブラック)

http://www.rayqual.com/L_ML.html

weiche Brise

Unleash Wings Strap

https://item.rakuten.co.jp/weichebrise/tswbcts_003/

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この記事を書いた人

ライター・写真家澤村 徹

カメラとデジタル関係のフリーライターとして二十余年、書籍や雑誌を中心に執筆しています。デジカメドレスアップ、オールドレンズ、マウントアダプター、デジタル赤外線写真などが得意ジャンルです。

使用機種はLeica M10、Leica M8、α7IIなど。近著は「ライカMLレンズ・ベストセレクション」(玄光社)、「オールドレンズ・ライフ」(玄光社)他。

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