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澤村 徹

2019年6月7日

Domiron 50mm F2 | 誰がドミロンの破綻を見つけたのか!?【オールドレンズProfiling 第3回】

Domiron 50mm F2Nikon Z 6 + Domiron 50mmF2

ドミロン50ミリF2、この名を知らなくても恥じることはない。何しろとかくマイナーなレンズだ。1960年代、プリモプラン58ミリF1.9とオレストン50ミリF1.8のつなぎとして、ごく少数生産された。開放F2、4群6枚のダブルガウス型。

どうにも地味なスペックである。大柄な鏡胴であることを除けば、これといって特長のない普及価格帯の標準レンズだ。

そんなドミロンが、ここ数年、急激に注目を集めている。中古価格は7~10万円まで跳ね上がり、今や名レンズの仲間入りだ。無名だったドミロンに一体何が起こったのか。どんな再評価がなされたというのか。大いに気になるところだ。

Domiron 50mm F2彫刻刀で削いだような独自のローレットがドミロンの特長だ。側面のレバーは自動絞りを実現するためのプレビューボタンである。

人気の理由は強烈な個性だ。太い筆で油絵の具を塗りたくり、まるで像が破綻したようにボケる。陽気なゴッホとでも言えばイメージしやすいだろう。ただ、ひとつ疑問がある。

ここまで強烈なクセ玉がなぜ今まで見過ごされていたのか。クセ玉ならば再評価の機会を待つまでもなく、世界中のオールドレンズファンが愛用したはずだ。

Domiron 50mm F2レンズ先端のリングで自動絞りと手動絞りを切り替える。実絞りで撮影する際は、白いマークをレンズ指標に合わせておく。

実はクセ玉とはいうものの、ドミロンが個性を発揮するには条件がある。被写体を近距離に配置し、背景と被写体が十分に離れている場合、破綻気味の強烈なボケが発生する。ドミロンは最短34センチまで寄れるが、最短近くだとかえってボケは穏やかになる。

近すぎず、遠すぎず、適度な距離感がポイントだ。ドミロンはたしかにクセ玉だが、使いこなしを要する中上級者向けのクセ玉なのだ。

Domiron 50mm F2ドミロン50ミリF2は左のシルバー鏡胴が一般的だ。黒いドミロンは非常にめずらしい。

フィルム時代、光学ファインダー上でボケの様子を把握するのは至難の業だった。しかし、デジタルカメラのライブビューなら手に取るようにボケ方がわかる。しかもフルサイズミラーレスならボケが暴れる周辺部の様子も一目瞭然だ。

ライブビューとフルサイズミラーレスがドミロンの個性を発見した、という言い方もできそうだ。

作例

Domiron 50mm F2 作例

Nikon Z 6 + Domiron 50mmF2

絞り優先AE F2 1/3200秒 -0.67EV ISO100 AWB RAW

十三夜の月のように、半分ほど消失した玉ボケが幾重にも重なる。被写体と背景に適度な距離があると、このように絵画的なボケが生まれる。

Domiron 50mm F2 作例

Nikon Z 6 + Domiron 50mmF2

絞り優先AE F4 1/250秒 -0.67EV ISO100 AWB RAW

普通に撮影すると、いたって端正な描写だ。1~2段絞ればシャープで整ったボケを見せる。常にクセが出るわけではない。

Domiron 50mm F2 作例

Nikon Z 6 + Domiron 50mmF2

絞り優先AE F2 1/800秒 -0.67EV ISO100 AWB RAW

左上の葉にピントを合わせる。開放は合焦部がかすかに滲む。後ボケは形を保とうという理性と破壊衝動がせめぎ合う。

Domiron 50mm F2 作例

Nikon Z 6 + Domiron 50mmF2

絞り優先AE F2 1/1250秒 ISO100 AWB RAW

玉ボケが背景を侵食する、とでも言えばいいのだろうか。ドミロンのクセ玉としての側面を遺憾なく発揮した一枚だ。

製品リスト

Angelo Smaldore

Wetzlar Strap(Brown Vacchetta Bicolor)

https://www.angelo-pelle.com/wetzlar-strap-sl.html

Rayqual

EXA・TOP-NZ

http://www.rayqual.com/NikonZ.html

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この記事を書いた人

ライター・写真家澤村 徹

カメラとデジタル関係のフリーライターとして二十余年、書籍や雑誌を中心に執筆しています。デジカメドレスアップ、オールドレンズ、マウントアダプター、デジタル赤外線写真などが得意ジャンルです。

使用機種はLeica M10、Leica M8、α7IIなど。近著は「ライカMLレンズ・ベストセレクション」(玄光社)、「オールドレンズ・ライフ」(玄光社)他。

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